笑顔と感動に出会う旅

登山と健康




登山を通じて運動不足の解消・肥満の解消・足腰の筋力強化・体の柔軟性を高めて膝や腰への負担を軽減し、充分なトレーニングを行い、自分の体力をしっかりと認識し実力以上の山を選択して登山していないか注意して行う


                         


<山の歩く姿>


背筋を伸ばし、リラックスしたい姿勢を取り、腕の推進力を使わないで体重移動で歩くことを意識する

◎頭の位置を安定させ動かないようにする

◎どこの筋肉が使われているか意識する

 ◎足裏全体で着地をしていること

◎片足立ちになった時の安定性を意識する

◎足で蹴らずに、重心移動で上り下りする



<登山に必要な体力の要素>


基礎的体力

筋肉
登山の動きのすべてに必要または体温を上げる働きや体力の保存
持久力
登山動作を継続する力不足するとバテやすくなり、下山時の事故につながる
心肺能力
不足すると登りでもすぐに息が上がる身体の循環にも影響する


補助的能力


平衡性
不整地や不安定な場所でも、バランスよく安定して歩ける
敏捷性
素早く体勢を整えたり、体を動かす能力
柔軟性
関節可動域が広い状態 柔軟性がないと疲労によるケガのリスクが高い


登りで主に使われる筋肉


太ももを上げる動作 股関節屈曲 腸腰筋(短縮性筋収縮)
太ももを下げる動作 股関節伸展 大殿筋・大腿二頭筋(短縮性筋収縮)
膝を伸ばす動作 膝関節の伸展 大腿四頭筋(短縮性筋収縮)
かかとを上げる動作 足首の伸展 下腿三頭筋(短縮性筋収縮)
姿勢を保つ動作
腹筋インナーマッスル(等尺性収縮)
背筋


下りで主に使われる筋肉


膝を曲げる動作 膝関節の屈曲 大腿四頭筋 (伸張性収縮)
かかとを下げる動作
足首の屈曲 下腿三頭筋 (伸張性収縮)
姿勢を保つ動作
腹筋インナーマッスル(等尺性収縮)
背筋






<参考>




短縮性(縮まる)筋収縮 重力と反対の方向に持ち上げる時に使われる 筋肉が縮まりながら、力を発揮する筋肉収縮:登り
伸張性(伸びる)筋収縮 筋肉が伸ばされながら、力を発揮する筋肉重力に対するブレーキやクッションとして使われる:下山
等尺性(変わらない)筋収縮 筋肉の長さが変わらない状態で力を発揮する 姿勢を保持する体幹部 荷重がかかる肩の筋肉

登りでも、下りでも大腿四頭筋が使われているので、筋持久力不足によって低下して、下りの際にブレーキの働きが出来なくなって、転倒する事故が多い。


登山の活動強度

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」によると



<メッツとは、きつさに耐える体力>


ある動作や運動をするときに安静時の何倍のエネルギーを消費するかを表す数値 寝ている状態 1(メッツ) ゆっくり歩き(2メッツ)エネルギー消費を表す。エネルギー発生に関わる筋肉や骨格にかかる負担も増えていく。
身体活動強度の単位「メッツ」に「時間」を掛けて身体活動量の単位としたものをエクササイズ(EX)


6.3メッツ
荷物なしで山を登る
6.5メッツ
0〜4.1kgの荷物を持って山に登る
7.3メッツ
4.5kg〜9.1kgの荷物を持って山に登る
8.3メッツ
9.5kg〜19.1kgの荷物を持って山に登る
9.0メッツ
19.1kg以上の荷物を持って山に登る


登山の種類と運動強度(メッツ)の関係


6メッツ
標高差300m(1時間で登れる歩行)
7メッツ
標高差400m(一般縦走や一般登山)
8メッツ
標高差500m(難路・ハードな登山)


登高率(1時間あたり)で何メートルの高度を獲得できるかで体力を評価


メッツ
登高速度
190/時
270/時
350/時
430/時
510/時
590/時
10
670/時
11
750/時
12
830/時






<急性高山病について>

急激な高度の変化に対応出来ずに血中の酸素濃度が少なくなって発病する


頭痛と他の2〜8項目が該当すると急性高山病の可能性が高い・・・対策が必要です

自覚症状

1:頭痛
耐えがたい症状は重症
2:消化器症状
食欲不振・吐き気・嘔吐
3:疲労感・倦怠感
耐えがたい症状は重症
4:めまい
かなり感じる:中程度 耐えがたい症状は重症
5:睡眠障害
数回起きた・まったく寝れなかった
6:精神状態の変調
失見当・混乱・無感覚・意識が完全でない
7:運動失調
バランスが悪い・転倒・立っていられない
8:末梢の浮腫
2ヵ所以上あるか


急性高山病の予防法



ゆっくり登る
ゆっくり深い呼吸(腹式呼吸を意識する
水分補給する(こまめに水分をとる)
低酸素に慣れる(余裕のある行程にする)
持久力を高めるトレーニング







参考文献:発達運動(NHK出版)運動と健康(NHK出版) 山と渓谷2016年11月(山と渓谷社) 健康づくりのための身体活動基準2013 生死を分ける山の遭難回避術(誠文堂新光社